※2021年6月21日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。
○News of the Week
- ソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2021」がオンラインで開催、テーマは「ここがIoTのスタートライン」。ソラコムネットワーク(SORACOM Air)外のWi-Fiや有線からも接続可能なWireGuradベースのセキュアリンクサービス「SORACOM Arc」、AIに特化した高性能IoTカメラ「S+ Camera Basic Smart Edition」、300MB/月のデータ通信量込みの新料金プラン「plan-D D-300MB」、24/365対応の有償サポート開始など新アナウンス多数。メルカリ(メルカリポスト)、Luup(電動キックボードのシェアリングサービス)、ライナフ(オートロックエントランス解除可能な置き配サービス)などの新事例も。「ソラコムの創業時からの願いは、日本から世界からたくさんのIoTプレイヤーが生まれること。これからもパッションをもとに社会の課題を解決し、プラットフォーマーとして使いやすいサービスを提供していきたい」(ソラコム 代表取締役社長 玉川憲氏)(6/23) →「SORACOM Arc」のリリース / 「S+ Camera Basic Smart Edition」の紹介記事
- Hewlett Packard Enterprise(HPE)の年次カンファレンス「HPE Discover 2021」がオンラインで開催。オープニングキーノートの登壇したアントニオ・ネリ(Antonio Neri)CEOはフラグシップソリューションのHPE GreenLakeを「The future is Edge-to-Cloud」を実現するプラットフォームであることを強調、GreenLakeポートフォリオのコンサンプションモデルを拡張する新ソリューションとして、オンプレミスを含めたハイブリッドクラウド環境に対し、数クリックで新しいクラウドサービスをデプロイ可能にするクラウドネイティブなプラットフォーム「HPE GreenLake Lighthouse」(GA)、GreenLakeアーキテクチャのゼロトラストセキュリティ基盤「Project Aurora」(プレビュー)、Intelと共同開発した、CPUコアをシリコンレベルで動的に有効化/無効化できる「Silicon on Demand」(2021年後半リリース)などを発表。(6/23) →ニュースリリース
- AWSジャパン、建設業界のデジタル化を牽引する事例としてコマツとAWSの取り組みを公開、2015年からコマツが展開する、建設現場のデジタル化を実現するサービス「スマートコンストラクション」を導入した現場の数は1万3700以上に(2021年3月末時点)。現場の各プロセスのデジタル化(部分最適)にとどまらず、すべてのプロセスがデジタル化させてつながる施工全体のデジタルトランスフォーメーション(全体最適)をめざす。サービス開始時からAWSのサービスを数多く採用しており、新規案件はすべてサーバレスで開発、建設現場のデジタル化に加え、各種アプリケーションを現場のシステムと融合したデジタルツインを実現、データドリブンな施工計画や判断に貢献している。コマツ 執行役員 スマートコストラクション推進本部長 四家千佳史氏はAWSをスマートコンストラクションの基盤に選んだ理由として「グローバル展開、スピード感をもった開発、技術パートナーの多さ、WSの顧客への姿勢」を挙げている。(6/25) →ニュースリリース
- SolarWinds、2020年12月に最初の報告がなされた同社製品「Orion Platform」へのサプライチェーン攻撃の概要について国内報道陣向けに説明会を実施。同社にれば攻撃者が最初に活動を開始したのは2019年1月で、同年9月に悪意あるコード「SUNBURST」のテストコードをOrionに注入しトライアルを開始、2020年2月にSUNBURSTのコンパイルが開始され、顧客へのマルウェア拡散が開始する。2020年12月の最初の通知以来、SolarWindsは米連邦捜査局やCISA、セキュリティエキスパートらと協力して調査を開始、またSUNBURSTからユーザを保護する施策として、ビルドの再現性(reproducible build)にもとづいたOrionの「2019.4.2」と「2020.2.4」をリリースしている。今後の方針として「セキュアバイデザイン」の実践と、ビルドの再現性(コンパイルされたリリースとソースコードがつねに一致する)の徹底、内部/外部監査の強化、ホワイトハッカーとのエンゲージメント拡大などを挙げている。(6/24) →攻撃の概要についてのSolarWindsのブログ
- Cisco Systems、楽天モバイルの基幹システムにSRv6(Segment Routing over IPv6)と「Cisco Routed Optical Networking」を導入することを発表、楽天モバイルが提供する5GサービスやIoTサービスのレジリエンス向上を図る。楽天モバイルのタレック・アミン(Tareq Amin)CTOは今回のパートナーシップについて「SRv6とCisco製品の導入で楽天のモバイルネットワークはよりシンプルでフラットなものに生まれ変わり、TCOの削減とエンドツーエンドなIPv6アーキテクチャの実装が進むことになる」とコメント。(6/25) →ニュースリリース
○Around the World, Around the Enterprise
- Salesforce.comとAWS、グローバルレベルでの戦略的パートナーシップの強化を発表。プラットフォーム統合をより強化し、AWS/SFDCにまたがったシームレスなカスタムアプリケーション開発や、顧客サービスにおけるエンゲージメント拡大を図る。「Salesforceの開発ツールを使ってAmazon RDSやAmazon S3にあるデータをネイティブに操作する」「Customer CloudやService CloudをAmazon Connectと連携して仮想コンタクトセンターを迅速に立ち上げる」なども可能に。(6/25) →ニュースリリース
- Intel、新しい事業部門の設立やデータプラットフォーム事業の分割、新たなエグゼクティブの就任などを含む組織再編を発表。従来のデータプラットフォームグループ(DPG)はデータセンター&AI部門とネットワーク&エッジグループに分かれ、新事業部門としてソフトウェア&アドバンストテクノロジグループ、アクセラレーテッドコンピューティングシステム&グラフィクスグループ(AXG)がローンチする。これらの事業部門のリーダーは全員、パット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)CEOに直接リポートする。ソフトウェア&アドバンストテクノロジグループを統括するシニアバイスプレジデント兼CTOのグレッグ・ラベンダー(Greg Lavendar)はIntel入社前はVMwareのCTOとしてもVMware時代のパットを支えていた。なお、エグゼクティブバイスプレジデントとしてデータプラットフォームグループを統括してきたナヴィン・シェノイ(Navin Shenoy)は7月6日付で26年間在籍したIntelを退職する。(6/22)→ニュースリリース
- Apple M1チップをメインラインではじめてサポートした「Linux 5.13」がリリース。(6/27) →Linus Torvaldsによるアナウンス
○Quote of the Week
There’s a lot left to do, but as when we first started, Confluent’s here to set data in motion.
tweet of Jay Kreps
–Jay Kreps, CEO of Confluent
※筆者訳: やるべきことはまだたくさん残っている。だが我々が最初にスタートしたときと同じように、Confluentは”data in motion”を実現するためにここにいる。
※※2014年にLinkedInからスピンアウトしたConfluentが2021年6月24日にNASDAQにIPO、スティッカーは”CFLT”に。Apache Kafkaをコアにした”Data-in-Motion”なストリーミングデータソリューションで多くのエンタープライズ企業での導入を果たしている。
–Thanks for reading!
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