【The Weekly, September 20 2021】NTTデータ、アジア初の「Green Software Foundaiton」参加

※2021年9月13日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。

🐾News of the Week

  • Tableau、最新リリース「Tableau 2021.3」の新機能について報道関係者向けに説明会を開催。主要なアップデートとしては、複数のタスクをリンク可能にしたことによる連続したフロージョブの実行、新しい行の作成、サブスクリプションメールによるデータ品質に関する警告、Slack通知、ほかのユーザとのプライベートなデータ共有を可能にする個人用スペース、多角形/線や多角形/多角形といった空間結合の向上など。「Tableauが目指す世界観はセルフサービスとガバナンスを両立させること。2021.3にはTableauおよびSalesforceグループとしてのあらゆるアクティビティを詰め込んでおり、SlackやMulesoftとの連携強化はその象徴。”アウトカムファースト”を実現するデータプラットフォームとして大きく進化したと思っている」(Tableau カントリーマネージャ 佐藤豊氏)(9/14) →Tableauのブログ
  • トレジャーデータ、”Beyond Marketing”を掲げたCDP製品として、法人営業に特化した「Treasure Data CDP for Sales」とコンタクトセンター/コールセンター向けの「Treasure Data CDP for Contact Center」を新たに提供開始。米Treasure DataのCEOに太田一樹氏が就任し(https://g3-enterprise.com/2021/07/15/treasure-data/)、経営体制が一新してから最初の大きなリリースとなる。CDP市場におけるシェアとCDP市場そのものの拡大をめざし、マーケティング以外でのCDPニーズを今後も深堀りしていく。(9/14) →ニュースリリース / 筆者寄稿の関連記事(ASCII.jp)
  • 日本ヒューレット・パッカード、HPEのグローバルビジネス概況およびGreenLake関連の最新情報に関して報道関係者向けに説明会を開催。2021年第2四半期に6年ぶりの2ケタ成長を達成して以来、好調なビジネスを続けており、第3四半期(5月 – 7月)も「受注、収益、キャッシュフローともにすべて好調で、着実に回復路線を歩んでいる」(日本ヒューレット・パッカード 代表執行役員社長 望月弘一氏)と成長スピードを加速させている。ビジネスのコアである「HPE GreenLake Cloud Services」はオンプレ/プライベートクラウドにありながら顧客にas-a-Serviceプラットフォームを提供できるサービスとして需要が大きく拡大しており、契約の総額は6000億円近くにのぼる。国内需要に関しても「GreenLakeに関しては日本は先進国であり、グローバルの需要を牽引している存在。オンプレミスを従量課金化していく流れとマッチしている」(望月氏)とトレンドに乗った成長を続けている点を強調。(9/15) →HPEの2021年第3四半期のリリース(日本語)
  • New Relic、「日本のオブザーバビリティ(可観測性)を民主化する」を掲げ、中堅中小企業向けにオブザーバビリティ習得/活用のための支援策を発表。これまで2週間のみ無償利用できたフリートライアルモデルを無期限で利用可能なフリーティアモデルに変更、また1ユーザかつ100Gバイト/月を下回る利用頻度の場合は半永久的に無償利用可能に。さらに日本語サポートの対象レンジを2 – 4ユーザの小規模利用まで適用するほか、New Relicによる日本語ドキュメントや学習コンテンツの無償提供を実施する。9/15付でユーザグループも発足し、国内コミニュティでのナレッジ共有も促進する。「製品は米国製だが、日本のユーザを支援する施策やコンテンツはローカル支援体制でやっていく。こうした体制は一朝一夕には真似できない、New Relicの強み」(New Relic 代表取締役社長 小西真一朗氏)(9/16)
  • NTTデータ、ソフトウェアのCO2排出量削減をめざす「Green Software Foundation」にアジア企業初の運営メンバー(Steering Member)として加盟。Green Software Foundationは2015年5月にAccenture、Github、Microsoft、Throughworksによって設立された、Linux Foundaiton配下の非営利組織で、パリ協定に定められた「2030年までにICT分野における温室効果ガス排出量を45%削減」を目標に、グリーンなソフトウェア開発に必要な開発ツールやベストプラクティスの策定と業界への普及展開を図る。NTTデータは現在、グローバルで2050年のカーボンニュートラル実現に取り組んでおり、今回のGreen Software Foundaiton加盟にともない、ソフトウェア開発やシステム運用におけるCO2排出量の削減努力が適切に反映される基準づくりを進めていくとともに、顧客企業の環境負荷低減のみならず社会インフラ全体への価値還元をめざす。(9/16) →ニュースリリース

🐾Around the World, Around the Enterprise

  • Oracle、「Java 17」の一般提供を発表、2018年9月リリースの「Java 11」以来、3年ぶりの長期サポート版(LTS、サポート期間は8年)。また、GPLv2の「OpenJDK 17」およびOracleによる「Oracle JDK 17」もリリースされており、Oracle JDKはライセンス改定により無償提供となる。シールクラス(Sealed Classes)の追加、Apple M1のサポート、擬似乱数ジェネレータの強化、ベクトルAPI(インキュベータ)、Applet APIの廃止など。(9/14) →Oracleによるリリース(日本語)
  • Uber Technologies、CTOのスクマール・ラスナン(Sukumar Rathnam)の辞任を発表、理由は公表されていないが、一部メディアではCPO(Chief Product Officer)のサンディープ・ジェイン(Sundeep Jain)との対立が伝えられていた。ラスナンは2020年9月にUberに入社したが、わずか1年で同社を去ることに。AmazonやMicrosoft、Oracleなどでエンジニアリングマネージャとしての実績を積んできたラスナンを評価する声は業界内で多く、2021年8月にはServiceNowのボードメンバーにも選出されている。(9/14) →Reutersのニュース
  • Google Cloud、「Google Kubernetes Engine(GKE)」のバックアップ機能「Backup for GKE」をプレビュー提供、シンプルな操作でKubernetesクラスタのバックアップ/リストアが実現。先行ユーザのBroadcomは「Backup for GKEのおかげで、GKE内のステートフルなワークロードの保護が簡単にできるようになり、リストアもよりシンプルで速くできるようになった」と高く評価。(9/16) →Google Cloudのブログ(英文)

🐾Quote of the Week

I am humbled by the effort and resilience that the TTEC family showed during the past few days, and their continued hard work to support our clients. Our expertise in business continuity and incident response allowed us to continue to serve our clients, despite the many complications presented in this incident.
–Ken Tuchman, TTEC chairman and CEO

TTEC Resolves Cyber Incident

※筆者訳: TTECファミリがこの数日間に見せてくれた努力とレジリエンス、そしてクライアントに対して真摯なサポートを続ける姿に、私はただただ畏敬の念を抱くしかない。今回のインシデントは複雑な事象が入り組んでいたが、にもかかわらず、我々の事業継続における専門知識とインシデントへの対応により、クライアントへのサービスを続けることがかなった。

※※ランサムウェアの被害に遭ったカスタマーエクスペリエンス(CX)の大手企業であるTTEC、当初はメディアからの取材にノーコメントだったが9/17にインシデントを認め、すべて解決済みだとCEOがアナウンス。ある報道によればTTECを襲ったのはランサムウェアを使った犯罪集団”Ragnar Locker”とも推測されている。

–Thanks for reading!

1