ソフトバンクグループがNVIDIAへのArm売却を断念、ArmはCEO交代

ソフトバンクグループは2月8日、2020年9月に発表したNVIDIAへのArm株売却を断念したことを明らかにしました。米国、英国および欧州の規制当局からの申し立てに加え、MicrosoftやGoogle、Qualcommといった業界大手企業からの強い反発に抗うことができず、「(NVIDIAとソフトバンクグループは)取引完了のために誠意を持って取り組んできましたが、これを阻む 制上の大きな 題があった」ことが契約解消の直接の要因とされています。今回の売却断念にともない、Armとソフトバンクグループは2022年度中(2023年3月末まで)のArmの再上場に向けて準備を開始しました。

取引総額の約400億ドル(約4兆6180億円)のうち、NVIDIAがすでに前払金として支払った12億5000万ドル(約1440億円)はソフトバンクグループがそのまま保持し、第4四半期に利益形状されることになります。一方、Armは20年間のArmライセンスを保持します。

本発表を受けてArmは2月8日付けでCEOの交代を発表、30年以上に渡ってArmに在籍してきたサイモン・シガース(Simon Segars)に代わり、2017年からArmのIPプロダクトグループのプレジデントを努めてきたレネ・ハース(Rene Haas)が就任しました。ソフトバンクグループ 代表取締役 会長兼執行役員社長 孫正義氏は「レネは、株式市場への再参入に向けArmの成長を加速させるために相応しいリーダーです。また、過去30年にわたるサイモンのリーダーシップ、Armへの貢献と献身に感謝します」とコメントしています(なお、ハースCEOはNVIDIA出身)。

今回の契約解消に関しては、2021年から各国の規制当局との交渉がうまくいっていないことが報道されていたこともあり、業界内にはさほど大きな驚きは拡がっていないようです。しかし同日発表されたソフトバンクグループの第3四半期決算の数字を見る限り、4兆円を超えるArmの売却を成功させられなかったことはソフトバンクグループにとって大きな痛手だといえます。来年度内に見込んでいるArmの再上場に向けて、いかにその価値を高めていくことができるのか、あらためてソフトバンクグループと孫氏の手腕が問われることになります。

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