AWSの2021Q4決算、売上は40%増の177億8000万ドルに

Amazon.comは2月3日(米国時間)、2021年第4四半期(10/1 – 12/31)の決算を発表しました。売上高は前年同期比9%増の1374億ドル(約15兆8320億円)、営業利益は35億ドル(約4030億円、前年同期は69億ドル)、純利益は143億ドル(約1兆6400億円、前年同期72億ドル)で1株あたりの純利益は27.75ドル(前年同期14.09ドル)で、純利益がほぼ倍増となっていますが、これには出資するRivian Automotiveへの税引前評価利益118億ドルが含まれています。売上高は四半期ベースの過去最高を更新しましたが、アナリスト予測の1377億ドルをわずかに下回りました。

クラウドコンピューティング部門のAWS(Amazon Web Services)の数字も発表されています。売上高は前年同期比40%増の177億8000万ドル(約2兆500億円)、営業利益は48%増の52億9300万ドル(約6100億円)といずれも前年を大きく上回りました。

決算レポートにはこの四半期に発表された各業界の顧客事例(新規導入および移行パートナー、プリファードクラウド指定)が紹介されています。

  • ランドマークアナウンスメント … Nasdaq
  • テクノロジ … Meta、Qualtrics
  • 自動車 … Stellantis、Rivian、Aurora
  • 小売 … BestBuy、Under Armour、adidas、Richemont
  • 金融サービス … Goldman Sachs、AIG、Fannie Mae
  • ヘルスケア … Pfizer、Roche、Gilead
  • 農業 … Bayer Crop Science
  • 製造 … Siemens Digital Industry Software、Kone
  • メディア/エンターテイメント … Discovery
  • 旅行 … United Airline

ランドマークアナウンスメントとされたNasdaqとのパートナーシップはは2021年11月 – 12月に開催された「AWS re:Invent 2021」のオープニングキーノートで発表されました。Nasdaqは今後、取引所のすべてのシステム(株式売買システムのマッチングエンジン含む)をクラウドに移行する計画で、そのクラウドパートナーとしてAWSを選定し、複数年契約を締結しています。世界初となるフルクラウドベースの証券取引所への完全移行がいつになるのかは明らかになっていませんが、金融サービスのデジタル化における重要なマイルストーンとなることは間違いないでしょう。

2021年12月1日(米国時間)に行われた「AWS re:Invent 2021」のオープニングキーノートでは、Nasdaqのプレジデント兼CEOのアデナ・フリードマン(Adena Friedman)が登壇、マッチングエンジンも含めた同社の証券取引所システムを段階的にAWSクラウドに移行すると発表した

また、グローバルで拡大中のリージョン展開についても報告がされています。2021年12月15日にはアジアで10番目となるジャカルタリージョン(ap-southeast-3)がオープンしたほか、2023年後半もしくは2024年前半にカナダ西部リージョン(カルガリー)をローンチする予定も発表しました。現在、AWSは全世界で84のアベイラビリティゾーン(AZ)と26のリージョンを展開していますが、今後数年でさらに24以上のアベイラビリティゾーンと8以上のリージョンがローンチする予定となっています。

なお、AWSの競合とされるMicrosoftおよびGoogleもほぼ同じ時期に四半期決算(10/1 – 12/31)を発表しています。

Microsoftは以前からAzure単独の決算は発表していないため、AWSの数字と単純に比較することはむずかしいのですが、Azureも含めたMicrosoft Cloud(商用クラウド)の売上高は前年同期比32%アップの221億ドル(約2兆5490億円)、もう一方のライバルであるGoogle Cloudは44前年同期比44%増の55億4100万ドル(約6386億円)でした。MicrosoftもGoogleも伸び率はAWSを上回っていますが、両者の売上にはいずれもOffieサービス(Windows 365、Microsoft DynamicsおよびGoogle Workspace)が含まれている点がAWSとは大きく異なります。2021年6月に調査会社のGartnerが発表したIaaSのシェア(2020年)では、AWSが40.8%、Microsoftが19.7%、Googleが6.1%という数字でしたが、今回の決算を見るにシェアとしては現在も大きな変動はないと思われます。アダム・セリプスキー(Adam Selipski)がCEOとして2年めを迎える2022年、AWSクラウドがどんな数字を新たに記録していくのか、引き続き期待したいところです。

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