※2021年6月14日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。
○News of the Week
- セールスフォース・ドットコム、6月15日13時10分から14時0分の期間、一部の顧客が同社のクラウドサービスにつながりにくくなる通信障害が発生。5月に続き、2021年に入ってから大きな通信障害は2回めとなる。復旧後、原因について「サードパーティのインターネットサービスプロバイダ (ISP)による障害」と説明するものの、詳細は未公表。(6/15)
- AWSジャパン、医師起業のヘルステックスタートアップ2社の活動を紹介するメディア説明会を開催。医師どうしのQ&Aサービスなどを実名制でサポートするアンター 代表取締役 医師 中山俊氏と病児保育支援システム「あずかるこちゃん」を運営するコネクテッド・インダストリーズ CEO 園田正樹氏が登壇、臨床/研究や教育につづく医師の第3のキャリアとして、起業の可能性に言及。「臨床医は目の前の患者を救うことが第一だが、起業によってサービスを提供することで臨床をスケールさせることができる。AWSはそのスケールを助けてくれる存在で、スタートアップ支援も充実」(中山氏)/「医師の起業メリットは日々の診療をもとにしているので課題が明確であり、興味をもって聞いてもらえることが多い。AWSを選んだ第一の理由はエンジニアが多くて採用がしやすいから」(園田氏)(6/16) →筆者執筆の寄稿記事(ASCII.jp)
- ガートナー ジャパン、日本企業のクラウドコンピューティングに関する調査結果を発表、日本におけるクラウドの利用率の平均は2020年の調査から4ポイント増の22%に。もっとも高い成長を見せたのは、新型コロナウイルスの感染拡大で需要が拡大したSaaSで8ポイント増の39%に。ガートナー ディスティングイッシュトバイスプレジデント アナリスト 亦賀忠明氏は「政府共通プラットフォームのAWS採用や、企業における内製化の機運などがクラウド推進を後押ししている。この10年を通してみてもかなり大きな変化が起こっており、クラウドが次のステージに進んだと捉えるべき」と日本のクラウド利用が新たなフェーズに入ったことを指摘する。(6/14) →ニュースリリース
- 日本テラデータ、米Teradataと調査会社のForrester Researchと共同で行った、カスタマーエクスペリエンス(CX)の向上を妨げる障壁に関する調査結果を発表、CXを阻む3つの課題として「組織/システムを横断した顧客データを見ることができない」「データから有用なインサイトを得ることができない」「獲得したインサイトをアクションに移せない」を挙げる。また「Teradata Vantage CX」により顧客との関係性を深めることに成功した英国の金融グループLloyds Banking Groupの事例を紹介、サイロ化された顧客情報を論理的に統合し、グループ内のブランドやサービスを横串で連携、顧客の360度ビューを実現したことで「望ましいターゲットに対して望ましいタイミングで、望ましいコミュニケーション」が可能になったとしている。(6/16) →CX調査に関するプレスリリース
- IBM、創立110周年を迎える。なお翌日(6/17)には日本IBMも84周年の創立記念日を迎えた。Congratulations🎉 (6/16)
○Around the World, Around the Enterprise
- Intel、データセンター向けの新デバイス「Infrastructure Processing unit(IPU)」のビジョンを発表。SmartNICアーキテクチャを拡張したプログラマブルなネットワークデバイスで、ストレージやネットワークの仮想化およびセキュリティをCPUからIPUにオフロードし、CPUの処理能力向上を図る。なおCPUからセキュリティやネットワークなどデータセンターインフラストラクチャをオフロードするアーキテクチャとしては、NVIDIAのDPU(Data Processing Unit)があり、すでに「NVIDIA BLUEFIELD」ファミリとして展開されている。(6/14) →ニュースリリース
- Microsoft、米アリゾナ州エルミラージにMicrosoft Azureの新データセンターリージョン「West US 3」の最初のデータセンターをローンチ。アリゾナを選んだ理由に「豊富な太陽光」「高いスキルの労働力」「顧客企業への近さ」「土地の活用のしやすさ」を挙げている。同データセンターの初期ユーザにはアリゾナ州の非営利の医療システムBanner Health、アリゾナ州政府、Teradataなど。消費電力のほとんどを太陽光発電や水力発電など再生可能エネルギーで賄うサステナブルなデータセンターである点も特徴のひとつ。残りの2つのデータセンターはマリコ郡のグッドイヤーに建設予定。(6/15) →Microsoftのブログ
- Oracle、2021年度第4四半期決算(3/1 – 5/31)を発表、売上高は前年同期比8%アップの112億ドル(約1兆2315億円)でうちクラウドサービスとライセンスサポートの売上は8%増の74億ドル(約8138億円)、当期純利益は20%増の45億ドル(約4948億円)といずれもアナリストの事前予想をやや上回る。「Oracle Fusion Cloud ERP」「Oracle Fusion Cloud HCM」「Oracle NetSuite」など好調なSaaSビジネスが業績を押し上げた。(6/15) →ニュースリリース(英文)
○Quote of the Week
The great unbundling of the database market has begun.
Emil’s Blog: Neo4j Raises the Largest Funding Round in Database History
–Emil Eifrem, Co-Founder & CEO of Neo4j
※筆者訳: データベース業界の大々的な再編が始まった。
※※Neo4Jは6/17にシリーズFの資金調達で3億2500万ドル(約357億円)を調達、成長著しいグラフデータベース市場をリードする存在として注目度が高まっている。
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