Dell TechnologiesとVMwareは4月15日(米国時間)、VMwareがDellグループからスピンオフすることで合意したと発表しました。Dellは保有するVMwareの株式の81%を放出し、VMwareは総額115 – 120億ドル(約1兆3000億円前後)の特別配当金をすべての株主(Dell含む)に対して支払います。取引の完了は2021年第4四半期(10 – 12月)が見込まれています。
- VMware and Dell Technologies Reach Agreement Regarding Spin-Off
- Dell Technologies Announces Planned VMware Spin-Off
VMwareをスピンオフすることでDellは93 – 97億ドル(1兆円前後)程度の収益を得ると見られていますが、この収入はDellが長期負債として抱える約41億ドル(約4464億円)の返済に当てられます。なお、Dell Tecnologiesのマイケル・デル(Michael Dell)CEOはVMwareのスピンオフ後もVMwareのチェアマンを兼任する予定です。Dellの株主および投資家はこの買収を強く支持しており、アナリストたちの間でも「Dellの株主はVMware株にひもづけられた価値から解放され、資本構造がシンプルになる」とおおむね好評のようです。
今回のスピンオフは2020年7月にDellからVMwareに提案されたもので、2016年の旧EMC買収にともなう多額の負債を減らすことが主要な目的です。当時の親会社だったEMCの買収にともない、Dellグループの傘下に入ったVMwareですが、現Intel CEOのパット・ゲルシンガーのもとでのクラウドファースト/クラウドネイティブ戦略が奏効し、この5年間はきわめて好調な経営状態にありました。2018年2月ごろにはVMwareによるDellの逆買収の噂もささやかれましたが、最終的にはDellがVMwareの株式のほとんどを手放すというかたちで、それぞれが独立起業として新しい道を歩んでいくことになります。「スピンオフ後もDellとVMwareの良好な関係は続いていく」とマイケル・デルはコメントしていますが、Dellグループの中でももっとも高い価値をもつVMwareというビジネスユニットを切り離したあと、Dellの経営戦略にどんな変化があらわれるのか、チェックしていきたいと思います。
トップ画像は米パロアルトの広大な敷地内にあるVMware本社の入り口です。2004年に旧EMCに買収されてから17年後、ふたたび完全な独立企業としてここからスタートを切ることになりました。まだ発表されてない、パット・ゲルシンガーの後任となる次期CEOの就任も含め、2021年はVMwareにとって大きな変化の年になることは間違いありません。
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