※2021年7月26日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。
🐾News of the Week
- 日本IBMと東京大学、ゲート型商用量子コンピューティングシステム「IBM Quantum System One」を「新川崎・創造のもり かわさき新産業創造センター(KBIC)」にて稼働開始したことを発表。2019年12月にIBMと東京大学で締結した「Japan-IBM Quantum Partnership」にもとづくプロジェクトで、国内での量子コンピュータ実機の設置/稼働はこれが初となる。「前例のない困難な時代にかかわらず、実機の設置と稼働を実現することができて大変うれしい。現在、パンデミックや気候変動など、人類史的な課題が我々に突きつけられており、分断や差別の拡がりとともに社会の閉塞感があらわになっている。そういう時代こそ大学が果たせる役割は大きい。知識を編みあわせて世界の問題を解決していくべきタイミングで、新たな知に裏打ちされた技術である量子コンピュータは、既知だけでなく未踏の問題を解決できる可能性が拡がっている。実機の設置は量子コンピューティングの活用と実装の範囲を拡大していく上で重要なマイルストーン。アカデミアの研究者に最大限に活用してもらうのはもちろん、学部学生がハイレベルな量子コンピュータに接する機会を増やし、量子ネイティブな人材を育てていきたい」(東京大学総長 藤井輝夫氏)(7/27) →ニュースリリース
- インテル、7/26に開催されたオンラインイベント「Intel Accelerated」においてパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)CEOが発表した内容を国内メディア向けに解説。プロセスノードのネーミングポリシーを変更し、現在の10nm SuperFinの後継であるEnhanced SuperFinは「Intel 7」として位置づけられ、以降は「Intel 4」「Intel 3」「Intel 20A(Aはオングストローム)」と進化していく。またIntel Foundry Services(IFS: Intelによる他社の半導体受託生産事業)における新たなパートナーシップとして、AWSによるIntelのパッケージングサービスの導入とQualcommにおけるIntel 20A(2024年上半期予定)へのコミットメントを明らかにしている。(7/28) →ニュースリリース
- ServiceNow Japan、自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する支援ソリューションとして、Now Platformと850種類以上の外部システムを連携するモジュルール「Spoke」の導入メリットを紹介。スムースなデジタルワークフローを実現するNow Platformと、個人認証サービスや電子決済サービス、電子署名、LGWAN接続など自治体DXの推進に必要なさまざまな外部サービスをSpokeで連携し、住民と行政をエンドツーエンドでつなぐシステムの構築が可能だとしている。国内自治体DXの事例として行政サービスのコンタクトポイントを統合した東広島市の市民ポータルサイトも紹介。(7/29) →東広島市のNow Platform事例
🐾Around the World, Around the Enterprise
- オープンソースのNoSQLデータベース「Apache Cassandra 4.0」がリリース、2015年11月のv3.0から1000以上のバグを修正して約6年ぶりのメジャーバージョンアップ。ストリームデータの処理速度は最大5倍に、スループットは最大25倍になるなどパフォーマンスとスケーラビリティが大幅に向上。また今後は年に1回のリリースサイクルへとシフトし、リリースごとに3年のサポートを提供する方針も示す。(7/27) →ニュースリリース
- Amazon、2021年第2四半期(4月 – 6月)の決算を発表、売上高は前年同期比27%増の1131億ドル(約12兆3400億円)で伸びは鈍化するも、AWSは好調を維持し37%増の148億ドル(約1兆6150億円)となり、Amazonグループ全体の売上の13%を占める。(7/29) →ニュースリリース
- オープンソースの軽量サービスメッシュプロダクト「Linkerd」、CNCF(Cloud Native Computing Foundation)のインキュベーションステータスから卒業し、KubernetesやEnvoyと同様にグラジュエートステータスに。CNCFの中ではRustで実装された最初のプロダクトとしても話題に。(7/28) →Linkerdのブログ
🐾Quote of the Week
Our mission is to bring simplicity and user empathy to the service mesh space, and we’ve had to work tirelessly to dispel the prevailing narrative that service meshes are complex and unwieldy.
Cloud Native Computing Foundation Announces Linkerd Graduation
–Oliver Gould, Creator of Linkerd and CTO of Buoyant
※筆者訳: 我々のミッションはサービスメッシュという空間にシンプリシティとユーザの共感を持ち込むことだ。だから”サービスメッシュは複雑で手に負えない”というよく言われる風評を払拭するためにコツコツと努力を続けている。
※※サービスメッシュとしてはEnvoyをベースにしたIstioが注目されがちだが、Linkerdのほうが軽量で導入も容易と評価するユーザも多い。
—Thanks for Reading!
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