ClouderaとHortonworksが合併へ、MapR CEO「イノベーションのかけらもなし」

10月3日(米国時間)、Hadoopの二大ディストリビュータであるClouderaとHortonworksが合併に向けて合意したことを発表しました。2019年第1四半期には合併が完了し、企業規模にして約52億ドルの新会社が誕生する見込みです。

新会社のCEOにはClouderaの現CEOであるTom Reillyが就任する予定です。また、COOにはHorotonworksの現COOのScott Davidsonが、Chief Product OfficerにはHortonworksの創業者のひとりであり現役のHadoopコミッタとしても活躍するArun Murthy(現Hortonworks CPO)が就任するとのこと。Hortonworksの現CEOであるRob Beardenもボードメンバーとして新会社の経営に参加する予定です。トップ画像はBeardenが今年4 月に、日本の大口顧客向けにプレゼンするために初来日したときのものです。このときはClouderaやMapRに対するHortonworksの優位性を強調しており、その数カ月後にこんなニュースを聞くことになるとは思ってもいませんでした。

長年、お互いをライバルというよりは明らかに”敵”として対してきた両社が、急転直下でまさかの経営統合という事態に、業界全体が大きく驚いています。データビジネス界隈ではここ数年、AWSやGoogleが提供するクラウド上のマネージドサービスやストレージサービスが主流になりつつあり、オンプレミス向けのデータレイクソリューションを主力製品にしてきたClouderaやHortonworksが経営的に苦しい戦いを強いられてきました。また、Hadoopもそのエコシステムも拡大化/複雑化しすぎたきらいがあり、一般企業がデータプラットフォームの基盤としてHadoopを導入するにはさまざまな面で障壁が高くなっていたことも事実です。

同じApache HadoopをベースとするディストリビュータのClouderaとHortonworksですが、両社が提供するサポートプログラムや注力する機能には大きな差があり、言ってみればオープンソースの名のもとに、それぞれがそれぞれの”オレオレHadoop”を前面に出してビジネスを展開してきたといえます。そうした業界としての一貫性や統一性のなさが、Hadoopという業界全体を低迷させてしまった面は否定できないといえます。

今回の合併は、これまでの両社のわだかまりや文化の違いを差し置いてでも、統合を果たさなければ、Hadoopもディストリビュータも生き残れないという強い危機感がベースになっているように思えます。2011年から2012年ごろにかけて”ビッグデータ”という言葉がブームになり、そのブームを支える根幹の技術としてHadoopがもてはやされたことを思えば、今回のニュースはさまざまな面で時の流れを感じざるをえません。やや辛辣な見方をすれば、ClouderaもHortonworksもHadoopディストリビュータとしての争いにフォーカスしすぎたために、本当の意味でのビッグデータプラットフォーマーにはなりきれなかったのかもしれません。

一方、このニュースを受けて、もうひとつのHadoopベースのビッグデータプラットフォーマーとして”超”独自路線を行くMapRはこんなメッセージをTwitterで送っています。

まさしく”敵の敵は敵”というたとえがしっくりくるメッセージです。”Two wrongs(悪者の2社)”というなかなか強烈な表現を使っていますが、これだけでは終わらず、MapRのCEOであるJohn Schroederは追い打ちをかけるかのように以下のようなステートメントを出しています。

I can’t find any innovation benefits to customers in this merger. It is entirely about cost cutting and rationalization. This means their customers will suffer.
–ChannelE2E; Cloiudera, Hortonworks Merger: Big Data Opportunities, Challenges

「顧客にとっては何のイノベーションのメリットも見いだせない、単にコスト削減と合理化を図っただけの話でそれは顧客を苦しめるだけ」とばっさり。それに比べてMapRはいかに先進的か…と続いていますが、そこはさておき、Schroederの言う通り、顧客に対してただのコスト削減を提案するだけの存在になってしまうのなら、この合併にはほとんど意味はないでしょう。おそらくは半年後にはローンチする新会社に、ビッグデータプラットフォーマーのトップ企業としての価値を顧客は見いだせるのか、今後の展開に引き続き注目していきたいと思います。