【The Weekly, July 5 2021】IBMプレジデント辞任 / NSAやCISA、ロシアのサイバー攻撃激化にアラート

※2021年6月28日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。

🐾News of the Week

  • SAPジャパン、人材管理プラットフォーム「SAP SuccessFactors」およびクアルトリクスの従業員エクスペリエンス基盤を連携させたHXM(Human eXperience Management)に関連するプレスセミナーを開催。コロナ禍に入って問い合わせが多い「従業員エクスペリエンス(エンゲージメント)」「ジョブ型人事制度」から「ニューノーマルな働き方」などをカバーする新機能も実装されており、デジタル時代に最適なHXMプラットフォームに進化しているとする。導入企業の事例として、KDDIが取り組む「KDDI版ジョブ型人事制度」を支えるタレントマネジメントシステムにSuccessFactorsが採用されたケースを紹介、社員のキャリアプラン実現の支援や、社員と事業部のそれぞれがプロファイルを公開する人材マッチングなどに活用している。「激変する環境に対応しうる経営基盤を構築し、持続的成長企業であるために”人財ファースト企業”を実現していく。そのためにSAPの知見や経験にも頼っていきたい」(KDDI 執行役員 コーポレート統括本部 人事本部長 白岩徹氏) (6/28) →ニュースリリース
  • IBMジャパン、3月にリリースされたフルマネージドのKubernetes実行環境「IBM Cloud Code Engine」のプレス向け説明会を開催。開発者にとって運用のハードルが高いといわれるKubernetesをマネージドサービスで提供することで「アプリケーションコード、バッチジョブ、ファンクション、コンテナを1つのサービスで実行」「インフラ/クラスタ管理なしでコードをすぐにデプロイ」「ゼロスケールでコードが実行されているときだけ支払い」を実現、開発者が開発に注力できるラインタイムサービスである点を強調している。価格に関しては無料枠もあり、使わないときはゼロ台にスケールダウンできることから、他のメガクラウドのKubernetesサービスと比べてもお得感あり。(6/29) →IBM Cloud Code Engineのサイト
  • ヴイエムウェアゼロトラストセキュリティに関するプレス向け説明会を開催。分散化が進むマルチクラウドとデジタルワークプレイスを「VMware NSX-T」「Carbon Black」「VMware SASE」などのVMwareソリューションで抜け漏れなく防御するゼロトラストプロセスを紹介、またVMware SASEのコンポーネントであるWebゲートウェイ「VMware Cloud Web Security」の提供開始も発表。(6/30) →ニュースリリース / 筆者執筆の寄稿記事(クラウドwatch)
  • クアルトリクス、国内就業者を対象に2021年4月に実施した「コロナ禍における働き方の実態調査」(有効回答数 3405人)の結果を発表、出勤と在宅勤務が併存する”ハイブリッド型”の勤務形態が定着しつつあることを受け、業務分担やコミュニケーション、個人の事情に対する配慮が必要としている。とくに注目すべきはコロナ禍でも平均以上の業績を挙げている”ハイパフォーマー”と、平均を下回る”ローパフォーマー”の間で業務時間や業務効率性などで大きな差が出ており、二極化が進んでいる点。クアルトリクス EX(従業員エクスペリエンス) ソリューション ストラテジー ディレクター 市川幹人氏は「権限や裁量をはっきりと認識している人はコロナ禍でもハイパフォーマーとして業績を挙げやすく、社内コミュニケーションが減ったとしても帰属意識などに低下は見られない。その一方でローパフォーマーはパフォーマンスが低下しがちで、コミュニケーション不足による帰属意識の低下や孤立感、疲労感が増大する傾向にある」と指摘、ハイブリッド型勤務の定着に向け、ウエルビーイングを重視していく必要があるとしている。(6/30) →ニュースリリース
  • IBMジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst)のプレジデント辞任を発表。2020年4月にアービンド・クリシュナCEOのもと、Red HatのCEOからIBMプレジデントとなったホワイトハーストだったが、在任期間わずか1年余りでの退職となった。(7/2) →関連記事

🐾Around the World, Around the Enterprise

  • Intel、開発中の次世代Xeonスケーラブルプロセッサ(開発コード”Sapphire Rapids“)にHBM(High Bandwidth Memory: 広帯域幅メモリ)を内蔵したバージョンが加わることを発表、HPCアプリケーションの大幅な性能向上に期待。一方でXeon開発を統括するコーポレートバイスプレジデント兼 Xeon/メモリグループ ゼネラルマネージャのリサ・スペルマン(Lisa Spelman)はSapphire Rapidsの生産開始が2021年第1四半期となることを明らかにした。当初は2021年内の出荷を目指していたことから大幅な遅れとなる。(6/29) →ニュースリリース / リサ・スペルマンのブログ
  • ガートナー ジャパンデジタルトランスフォーメーション(DX)とデータ/アナリティクス(D&A)の取り組みに関する調査結果を発表。世界でDXに取り組んでいる企業は83%に上り、それらの組織のD&Aリーダーの76%がDXを主導または深く関与している実態が明らかに。日本でも従業員2000人以上の企業の約8割がDXやデータ活用に取り組んでいると回答しているが、DXとデータ利活用を明確に区別してい取り組んでいる組織は14%にとどまり、さらにDX専門組織を設置する企業は26%、データ利活用専門組織の設置率は15%にとどまっている。ガートナー ジャパン アナリスト 一志達也氏は「DXの推進にはD&Aが不可欠だが、その2つを混同すべきではない。世界と日本の状況を比較すると、責任者の明確化と組織的な関与に違いが見られる。組織のリーダーは、DXとデータの利活用にバランス良く取り組むことで相乗効果を高められるよう、資源の配分などを行うべき」と指摘する。(6/28) →ニュースリリース
  • 米政府機関の国土安全保障省サイバーセキュリティインフラストラクチャーセキュリティ庁(CISA)、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBA)と英政府機関である国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、ロシアのAPT28に関するセキュリティアドバイザリーを合同でリリース、2019年半ばから始まったロシア連邦軍参謀本部情報総局によるサイバー攻撃が激化しており、とくに米国と欧州の政府機関がターゲットにされているとして警戒を強めている。本件に関してFireEye Mandiant脅威インテリジェンス担当バイスプレジデント ジョン・ハルクイスト(John Hultquist)は「ロシアのAPT28は軍事情報機関のサイバー部門であり、その任務の一環として標的としている組織に対する情報収集を定期的に行っている。この脅威グループは、政策立案者、外交官、軍、防衛産業を対象とした情報収集を日常的に行っている。このようなインシデントは、必ずしもハッキングや情報漏洩のような攻撃を予見するものではない。我々が最大限の努力をしても、ロシアのスパイ活動を止めることはほぼ不可能。今回発行されたセキュリティアドバイザリーは、旧ソ連国防省参謀本部情報部(GRU)がいぜんとして脅威であることを再認識させるものだ。同組織がオリンピックの妨害を試みる可能性があることを考慮すると、とくに注目に値する」とコメントしている。(7/1) →ニュースリリース

🐾Quote of the Week

They are the ideal way to package the origins behind the Web.
–Sir Tim Berners-Lee, The inventor of the World Wide Web

Forbes

※筆者訳: Webにまつわる起源をパッケージするにはこれ(=NFT)は理想的な方法だね。

※※サザビーズのオークションでティム・バーナーズ=リー卿が開発した世界最初のWebのソースコードがNFTとして540万ドル(約6億円)で落札、NFTという新しいデジタルデータ資産に対してのバーナーズ=リー卿のコメント

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