10月4日に東京・六本木で行われたシスコシステムズ デイブ・ウェスト氏の新社長就任会見の記事を「IT Leaders」に掲載いただきました。米海兵隊でセキュリティエンジニアを務めたこともある、テクノロジに精通した、そして米国本社との間に強力なパイプをもつリーダーが日本法人のトップに就いたことは、日本法人にとっても、そして2020年の東京オリンピック成功をめざす日本社会にとっても、良いニュースだといえます。
あくまで私見ですが、いまのシスコ日本法人にとっての大きな課題は以下の2つではないかと思っています。
- 既存のパートナー企業の見直しも含めた、健全で発展性のあるエコシステム構築
- 最先端のテクノロジカンパニーとしてのイメージ刷新
ざっくりというと、シスコが国内市場に抱えている”レガシー” – 古いパートナー制度だったり、「シスコ=ネットワーク機器(だけの)会社」という古いイメージからシスコ自身をできるだけ早急に解放してやる必要があるように思います。とくにより重要な課題は前者のエコシステムの再構築のほうです。シスコは日本でのビジネスが長いだけに、既存パートナーとの関係の見直しは難しいかもしれませんが、”新生シスコ”を目指すなら箱売りビジネスから脱却したエコシステムの刷新は避けて通れないように思えます。後者のテクノロジに関しては、5Gへの取り組みはもちろんのこと、Ciscoが運営する開発者ポータルの「DevNet」や、KubernetesやIstioといったオープンソースプロダクトへのコミットなど、テクノロジカンパニーとしての活動を周知する機会が増えることを期待していますが、こちらも顧客やコミュニティを含めたエコシステム再構築という観点から進めたほうがいいかもしれません。
2年ほど前、Cisco本社のあるエグゼクティブにインタビューした際、「いまの時代のネットワークエンジニアに必要なスキルは何か」と聞いたとき、返ってきた答えは「コードを書けること、できればPythonかGoで」でした。CEOにChuck Robbinsが就任して以来、Ciscoはさまざまな面で大きく変わりましたが、いわゆる”シスコ職人”に求められてきた限定的な知識や技術ではなく、Pythonのような汎用的なコーディングスキルのほうが重要だとあたりまえのように語るのを聞いたとき、たしかにCiscoは変わったんだな、と実感したことを覚えています。ですがその変化はまだ日本のシスコまでには届き切っていません。ウェスト新社長の下でシスコ自身がトランスフォーメーションにどう取り組んでいくのか、引き続き見ていこうと思います。
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