IBMのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)CEOは7月2日(米国時間)、同社のプレジデントを務めてきたジム・ホワイトハースト(Jim Whitehurst)の辞任を発表しました。ホワイトハーストのほか、グローバルマーケット担当のブリジット・バン・クラリンゲン(Bridget van Kralingen)の退職、さらに数名のエグゼクティブの昇格が発表されており、クリシュナ体制となってからはじめての大規模な人事刷新が行われることになります。
IBMがRed Hatの買収を発表したのは2018年10月のこと、このときRed HatのCEOだったホワイトハーストは以後、IBMのシニアバイスプレジデントを兼任しながらIBMとRed Hatのシナジーを図ってきました(買収完了は2019年7月)。その重要な成果がIBM Cloudの再編で、現在、IBMのハイブリッドクラウドプラットフォームは「Red Hat OpenShift」「Red Hat Enterprise Linux」をコアに構成されています。
2020年4月にはRed Hatを離れ、クリシュナのIBM CEO就任とともにIBMプレジデントに就任、以後、IBMのハイブリッドクラウド事業やAI事業をリードしてきました。就任からわずか1年余りでホワイトハーストが辞任する理由は明らかになっていませんが、IBMだけではなくIT業界の内外に影響を及ぼすことは間違いないでしょう。リリースには「ホワイトハーストはプレジデントを降りてからも、クリシュナCEOのシニアアドバイザーとしてエグゼクティブリーダーシップチームに残る」とありますが、ホワイトハーストほどのエグゼクティブ人材であればおそらく次のキャリアへの道筋もすでについていると思われます。
辞任発表の前日となる7月1日、ホワイトハーストは自身のLinkedInでこうコメントしています。
One of the hardest parts of innovation is having the courage to act, decide, and prioritize quickly.
(イノベーションにおいてもっとも難しいことのひとつは勇気をもつことだ – 行動する、決断する、そして優先順位を速くつける勇気を)
ホワイトハーストという、ここ数年のIBMerの中でももっとも表立って活躍してきたキーパーソンが降りたIBMは今後、何を優先してビジネスを展開していくのか、同社の方向性の変化にも引き続き注目が集まりそうです。
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