マルチクラウド時代をリードする存在に – VMware、新CEOにラグー・ラグラムCOOを任命

VMwareは5月12日(米国時間)、同社取締役会が6月1日付けでラグー・ラグラム(Raghu Raghuram)COOをCEOおよび取締役会のメンバーに任命したことを発表しました。また、プレジデントにはチーフ・カスタマー・エクスペリエンス・オフィサー(Chief Customer Experience Officer)のスミット・ダーワン(Sumit Dhawan)が就任することも決定しており、新生VMwareの本格稼働が始まります。

この2月にVMwareのCEOを2012年から務めていたパット・ゲルシンガー(Pat Gelsinger)がIntel CEOに就任したことから、取締役会は新CEOの選出を進めていましたが、長年に渡ってVMwareの戦略とテクノロジの方向性をリードしてきたCOO職のラグーがCEOに就任することはきわめて妥当な決定だといえます。VMwareが単なる仮想化ソフトウェア企業にとどまることなく、SDDC、マルチクラウド、Kubernetes/クラウドネイティブアプリケーション、マネージドサービスといった時代のトレンドを的確に把握し、パットとともにスピーディに事業に取り込んできた手腕が高く評価されたと思われます。

プレジデントに就任するスミット・ダーワンは、ワールドワイドのセールスやパートナー戦略、カスタマーエクスペリエンス、マーケティングなどすべての営業/マーケティング事業を統括します。VMwareは今後、マネージドサービス/サブスクリプションビジネスを本格的に展開する姿勢を見せており、ダーワンはVMwareの新規事業領域の拡大における重要な責務と役割を担うことになります。

新CEO就任のニュースに、ラグー自身はTwitterで「非常に光栄である」とコメントしています。

(筆者訳)次のCEOとしてVMwareを率いていけることを光栄に思い、とてもワクワクしている。我々の眼前には広大なチャンスが拡がっており、すでにマルチクラウドコンピューティング時代をユニークにリードする準備はできている。

またジョー・ベダ(Joe Beda)やキット・コルバート(Kit Colbert)といったVMwareのエグゼクティブはもちろんのこと、次期AWS CEOのアダム・セリプスキー(Adam Selipsky)などエンタープライズIT業界の重鎮もラグーに祝福のコメントを寄せています。もちろん、前CEOのパット・ゲルシンガーもこのニュースに喜ぶひとりです。

(筆者訳)VMwareの決定は本当にうれしい。ラグーが新しいCEOになり、ボードメンバーになることはすばらしい選択だ。さらなる成功とより大きなインパクトを願って、心から応援するよ!

ちょうど日本法人のヴイエムウェアも2021年1月から山中直氏が代表取締役社長に就任し、国内事業の刷新を始めています。また、VMwareは4月にDellグループからのスピンオフを発表しており、年内には17年ぶりに完全な独立企業に戻る予定です。着々と変化する状況での誕生となった新CEOのもと、VMwareがプラットフォームベンダとしての存在感をこの不安定な世界にあってどう強めていくのか、引き続き注目していきたいと思います。

トップ画像は2018年11月の「vForum Tokyo 2018」に来日したラグーとのインタビュー時のものです。筆者は国内外の取材で何度かラグーと話す機会がありましたが、従業員からも顧客からも強い信頼を置かれている存在であり、日本市場についても非常に深い理解をもつ人物です。日本の報道陣に対してもいつもフランクに、かつ丁寧に接してくれたラグーがCEOに就くことは、個人的も非常に嬉しく思います。

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