AWSジャパンが発表した「Amazon Connect」の東京リージョンでの提供開始について「クラウドwatch」で記事を書かせていただきました。具体的なリリース日は発表されていませんが、おそらく年内、早ければ11月末に米ラスベガスで開催されるAWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent 2018」のころには、何らかのアナウンスがあるのではないかと期待しています。
コンタクトセンター、あるいはカスタマーセンター、サポートセンターなど、いろいろ呼び名はありますが、こうした特定の業務に対応するソリューションは閉じた世界でガラパゴス的な独特の進化を遂げることが多く、「わかる人にはわかる→ふつうの人にはわからない」製品になりがちです。しかしAmazon Connectの場合、一見すると業種特化型の地味な製品のようですが、実際にはAWSクラウドの良さがぎっしりと詰まった、コンタクトセンターの標準化を進めやすいサービスだと思います。
なかでも特筆すべきは価格設定に従量課金制を取り込んでいるところです。これまでのコンタクトセンターソリューションは専用のハードウェアを必須とするオンプレミス型がほとんどで、しかもオペレータの人数/席数に応じて価格が決まることが多く、季節によって顧客からの問い合わせの数が大幅に上下する小売業などは、オペレータの人数数調整にかなり苦心していました。しかしAmazon Connectの場合、顧客と会話した時間(接続時間)のみが課金対象であり、オペレータの人数や席数は関係ありません。もちろん、ハードウェアの導入や電話回線の手配も必要なく、需要に応じたオートスケールが可能です。AWSクラウドはITの世界にさまざまな破壊的イノベーションをもたらしましたが、その中でもこの従量課金による価格設定の透明化はもっとも評価すべきポイントのひとつです。「使った分だけを払う」というシンプルな原則を徹底し、エンタープライズITの世界に明朗会計の重要性を認識させたからこそ、一般企業はもちろんのこと、米連邦政府をはじめとする各国政府や公共機関などパブリックな組織においてもAWSがひろく使われるようになったといえます。
Amazon Connectにはこのほかにも、パートナー企業とのエコシステム構築や、サードパーティとの連携、「Amazon Lex」や「Amazon Poly」など最新のAI技術による通話の自動記録などAWSならではのメリットを実感できるポイントがいくつもあります。すでに国内企業のなかでもAmazon Connectを導入しているところがありますが、東京リージョンでの提供開始でその数は大きく増えそうです。