Microsoftは12月12日(米国時間)、Webサイトの訪問ユーザの行動を分析し、ページビューの向上やユーザインタラクションの改善につなげるA/Bテストツール「Clarity」をオープンソース(MIT License)で公開しました。どんなWebサイトでも利用することが可能です。
- 【Microsoft】Clarity Dashbord
- 【Bing Blog】Introducing Clarity, a product to visualize user interactions at scale to optimize conversion, engagement and retention
- 【GitHub】Microsoft/clarity-js
以下は1分ほどのClarityの紹介動画です。
Clarityはクライアントサイドで動くJavaScriptライブラリで、モダンなブラウザやデバイスに対応していますが、基本的にはモバイルファーストで開発が進められています。
無料で利用できるA/BテストツールとしてはGoogleの「Optimize 360」などがありますが、MicrosoftはClarityの優位性として”why”、つまりなぜユーザがその行動を取ったか、その理由を深掘りできる点を挙げています。単なるA/Bテストツールの場合、「AとBのどちらがアクセスが増えるか」といったメトリクスは得られますが、「なぜユーザはA(あるいはB)を選んだのか」という”why”にひもづいた洞察(インサイト)を得ることはできません。これに対し、Clarityは
- ページのコンテンツレイアウト、ビューポート(表示域)、ユーザインタラクションを監視する
- ページにおけるネットワークリクエストを検出する
- ある特定のエンドポイントに対してJSONオブジェクトを送信し、ログを記録する
というアプローチを通して、ユーザの行動理由をより深いレベルで分析し、サイト運営者にクリアなインサイトを提供することを謳っています。
ClarityはすでにMicrosoftのBingチームやレシピサイト「Cook with Manali」などで使われており、マルウェアの検出(Bing)や、ユーザエンゲージメントの向上(Cook with Manali)に大きな効果が見られているとのこと。次のステップとしては
- アブノーマルなクリックやスクロールをマシンラーニングで分析
- 同じ傾向をもつセッションのグループ化
- ヒートマップ機能
といった機能強化を予定しているそうです。こうしたツールの登場はユーザの選択肢を増やし、市場の多様化を促進するという意味でも非常に高く評価できるといえます。
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