※2021年9月20日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。
🐾News of the Week
- ヴイエムウェア、10月5日(米国時間)からスタートする年次カンファレンス「VMworld 2021」を前にVMwareが注力するアプリケーションモダナイゼーション/インフラとハイブリッドな働き方を前提にした”Anywhere Workspace”について説明会を実施。主力製品「VMware vSphere」「VMware Tanzu」「VMware Workspace ONE」をコアにしたアップデートの方向性をあらためて強調。(9/21) →筆者執筆の寄稿記事(クラウドwatch)
- 日本IBM、量子コンピューティングがもたらす将来のビジネス変革への戦略を示した「The Quantum Decade 日本語版」を公開、デジタルトランスフォーメーションを実現するキーテクノロジのひとつとして量子コンピューティングを位置づけ、量子コンピューティングへのアプローチを「認識」「準備」「優位性」の3つのフェーズに分類、それぞれのフェーズでの対応や可能性を示す。「人々が想定してる以上に速いスピードで量子コンピューティングの普及が始まり、本格的に使える時代がやってくる。企業はそのいまからでも量子コンピューティングに対するロードマップを描いておくべき」(日本IBM 戦略コンサルティング アソシエイト・パートナー 兼 Quantum Industry & Technical Service Japan Lead 西村泰如氏)(9/21) →ニュースリリース
- デル・テクノロジーズ、日本を含む世界各国のデジタルデータ保護対策の現状をレポートした「グローバルデータ保護インデックス(Global Data Protection Index: GDPI)」を公開。2021年時点で企業が管理するデータ総量は9.85ペタバイトで10年前の約10倍に、その一方で世界82%、日本84%が「現在使用しているデータ保護ソリューションでは将来のすべてのビジネス課題には対応できない」と回答、とくに日本企業の場合、バックアップ/復旧のSLA達成やデータロス発生時のデータ復旧、パブリッククラウド上のデータ保護といった分野で自信がないとした回答が目立つ。「9ペタバイトを超えるデータを保護することはとても複雑で大変なプロセス。すべてのデータを保護することは困難であるため、重要なデータ/ワークロードの効率的な保護と復旧がサイバーリスクコントロールにおいて重要な指針となる」(デル・テクノロジーズ DPS事業本部 本部長 芳澤邦彦氏)(9/22) →ニュースリリース
- NVIDIA、AI推論の最新ベンチマークテスト「MLPerf Inference v1.1」において、NVIDIA A100プラットフォームがx86とArmベースCPUの両方で最高のパフォーマンスを獲得したことを発表、直近7つの推論性能テストすべてで最高の成績を収め、NVIDIAのほかAlibabaや富士通、Dell Technologiesなどパートナー9社のシステムによるテスト結果も提出している。注目は今回はじめてデータセンターカテゴリでテストされたArmベースサーバ(Ampere Altra CPU搭載)の推論テスト結果で、x86とほぼ変わらないパフォーマンスを記録、3D-UNet(メディカルイメージング)ではx86よりも高い性能を示している。また今回のベンチマーク結果について、メディア向けに解説を行ったNVIDIA AI推論&クラウド部門 シニアプロダクトマネージャ デイブ・サルバトール(Dave Salvator)氏は「(ハードウェアだけでなく)ソフトウェアのここ1年での劇的な進化がパフォーマンス向上を促進している」として、モデルのデプロイメントとスケーリングをシンプル化する「NVIDIA Triton Inference Server」と、1つのGPUを最大7つのアクセラレータ(インスタンス)に分割して最適なコンピューティングパワーを割り当てる「NVIDIA MIG(Multi Instance GPU)」の貢献が大きかったとしている。(9/22) →NVIDIAのブログ
- 在日米国商工会議所(ACCJ)、日本が2030年までに社会のデジタル化を進める上で取り組むべき課題を明示した「Japan Digital Agenda 2030」の刊行を記念し、AWS エンタープライズストラテジスト マーク・シュワルツ(Mark Sxhwartz)によるウェビナー「日本ならびに米国のデジタル・ガバメント」を開催。バイデン政権誕生時に移行チームにおいてデジタルガバメントを主導した経験をもつシュワルツは、「デジタルガバメント実現のための4つのレッスン」として「巨大プロジェクトは細分化」「調達プロセスの確立」「最適な人材の確保」「リーンでアジャイルな組織づくり」を提唱、さらにもっとも重要なサクセスファクターとして「徹底的なオートメーションの実践」を挙げている。(9/24) →ACCJ「Japan Digital Agenda 2030」
🐾Around the World, Around the Enterprise
- 「Apache Kafka 3.0」がリリース、懸案だったZooKeeperのリムーブは実現しなかったものの「かなり近づきつつあるレベル」に到達へ。(9/21) →リリース
- Facebook、13年間に渡ってCTOを務めたマイク・シュローファー(Mike Schroepfer)が2022年に辞任し、シニアフェローに就任すると発表、後任のCTOはVR/AR部門トップのアンドリュー・ボズワース(Andrew Bosworth)に。シュローファーは辞任の理由について「家族ともっと一緒に過ごし、慈善活動にも注力したい」とコメントしている。(9/23) →Facebook(マーク・ザッカバーグCEO)のリリース / シュローファーのFacebook投稿
- 特許を取得した発明の中でもとくに人類の進歩に貢献した発明と発明家を称える「全米発明家殿堂(National Inventors Hall of Fame)」に、VoIPの発明者としてGoogleエンジニアのマリアン・クローク(Marian Croak)が選出。同時に殿堂入りしたパトリシア・バース(Patricia Bath)博士とともに初の黒人女性としての選出となる。(9/21) →Googleのブログ / NIHFのリリース
🐾Quote of the Week
Applications are the backbone of today’s modern businesses, and protecting them is mission critical for our customers.
F5 Enhances Cloud Security Portfolio with Acquisition of Threat Stack
–Haiyan Song, EVP of Security, F5
※筆者訳: アプリケーションは今日のモダンビジネスにおけるバックボーンであり、これを守ることは我々の顧客にとってミッションクリティカルである。
※※F5、9/20付でクラウドセキュリティスタートアップのThreat Stackを6800万ドル(約75億6700万円)で買収、ハイブリッドクラウド上のDevOpsやオブザーバビリティをケイパビリティとする同社を買収したことで、モダンアプリケーション戦略を強化していく構え。
–Thanks for reading!
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