【The Weekly, 15 March 2021】ServiceNowが新プラットフォーム「Quebec」リリース

※2021年3月8日週のエンタープライズニュースのハイライトを筆者の独断と偏見によるセレクトでお伝えします。

○News of the Week

  • 日本IBM、ゼロトラストセキュリティを強化する認証基盤「IBM Security Verify」をマネージドサービスとして4月1日から東京のデータセンターで提供開始。また、IBMのセキュリティ研究開発機関であるIBM Security X-forceが2020年にグローバルで発生したサイバー脅威を分析した「X-Force脅威インテリジェンス・インデックス 2021」を公開。(3/9)
  • SAPジャパン、オンプレミスERPの導入顧客であるI-PEX(旧第一精工)の「SAP S/4HANA Cloud」への移行プロジェクトを発表、2022年はじめの稼働を予定。I-PEXはS/4HANAと同時にSAPが提供するクラウド型製造実行システム「SAP Digital Manufacturing Cloud」の導入も決定しており、基幹システムの水平統合と垂直統合をクラウド上で実現することをめざす。SAPがグローバルで推進する「RISE with SAP」の国内製造業における事例としても注目。(3/9) → 関連リリース
  • コニカミノルタの個別化医療事業会社Konica Minolta Precision Medicine(KMPM)、AWSとの今後5年間に渡る連携を発表、KMPMの次世代統合診断プラットフォーム「Lattice」にAWSのヘルスケア事業者向けサービス「Amazon Healthlake」を導入へ。Latticeは、遺伝子情報や病理データ、医療画像など多様なデータをもとに臨床的に重要なバイオマーカーを発見することを目的とする”マルチオミックス”プラットフォーム。一方、Amazon Healthlakeは2020年11月の「AWS re:Invent 2020」でプレビューとして発表されたHIPAA準拠のサービス。ペタバイトスケールで健康データを保存/照会/分析可能で、MLサービス「Amazon SageMaker」やクイックBI「Amazon QuickSight」などAWSの各種サービスとの連携が容易。AWSはKMPMの優先プロバイダとして、Latticeのグローバル展開を支援し、KMPMに対する投資を行う。(3/10) → 関連リリース
  • 富士通と京都大学、共同で開発した遺伝子変異の検討作業を支援する検証システム「MGeND Intelligence」を発表、4月から京都大学の共同研究者や協力期間に対して利用提供を開始へ。富士通研究所が保有する「DeepTensor」などのAI技術をベースに開発、有用な情報をもつ遺伝子変異をスピーディかつ高精度で特定し、さらにその推定の根拠を自然言語で説明することができる。「遺伝子変異の特定に最先端のAI技術を使うことで医療従事者の負担を減らし、ゲノム医療の支援を積極的に行っていく」(前 国立大学法人京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻 看護科学コース 臨床看護学講座 特定准教授中津井雅彦氏)(3/11) → 関連リリース
  • ServiceNow、新プラットフォーム「Quebec」をグローバルでリリース、キャッチコピーは「21世紀の企業を支えるプラットフォームのためのプラットフォーム」。前バージョンの「Paris」(2020年9月)からコアコンポーネントを大きく拡張子、数百以上のアップデートを実施。ビジネス部門やシチズンデベロッパのノーコード開発を支援する「App Engine Studio」、日常的で自然な言語(日本語も対応)で検索可能な「AI Search」、過去のインシデントから予測してインテリジェントな予測/阻止/処理を行う「ITOM Predictive AIOps」、デジタルフォレンジックや電子署名の簡素化などリーガルリクエストへの対応をパッケージングした「Legal Service Delivery」などがおもなハイライト。なお、2021年9月リリース予定の次期プラットフォームは「Rome」。(3/12) → 関連リリース

 

○Around the World, Around the Enterprise

  • 情報処理推進機構(IPA)、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP: Information system Security Management and Assessment Program)のサービスリストを公開。政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウド事業者/サービスをあらかじめ登録/評価する精度でNTTデータ、AWS、Google Cloud、Salesforce.comなど7社10サービスが認定。(3/10)
  • フランスのクラウド事業者OVHがストラスブールに抱えるデータセンターキャンパスで大規模な火災事故が発生、全4棟のデータセンターうち「SBG2」と呼ばれる約3万のサーバを運用するタワー(非コンテナ型データセンター)が全焼、同じ敷地内にある「SBG1」も12のルームのうち4つが損傷、残りの「SBG3」「SBG4」は被害は免れたとしている。火災の原因はまだ明らかになっていない。OVHcloudを利用する顧客にはアクションゲーム「Rust」を運営する英Facepunch、フランスのジョルジュ・ポンピドゥー国立芸術文化センター、オンザフライの暗号化ソフトウェア「VeraCrypt」などの名前が挙げられるが、多くがサービスを停止せざるを得ない状況に置かれており、とくにRustは「EUで提供する25のサーバすべてが影響を受け、多くのデータが焼失した。データのリストアは不可能」と甚大な被害にあったことを報告している。OVHは火災に関する情報を専用サイト「Fire at Our Strasbourg Site」で公開/更新中。(3/10)
  • CERN、World Wide Webのアニバーサリーを祝うツイートを発信。1989年3月に当時CERNの科学者だったティム・バーナーズ・リー卿がWebに関する最初のプロポーサルを提出したことを記念して、CERNでは3月をWebの誕生月としている。

 

○Quote of the Week

Ten years after the devastating tragedies in Eastern Japan on 3/11, we honor the lives lost. We stand strong with our friend & colleagues in Japan and admire their resilience, courage & strength.
–Tim Cook, Apple CEO

※筆者訳→3月11日に東日本を襲った壊滅的な悲劇から10年、亡くなられた方々への哀悼を捧げる。我々は日本にいる友人や仲間を強く支持するとともに、彼らの回復力、勇気、そして強さに敬意を表する。

※※ティム・クックは3月11日14時46分、10年前の東日本大震災が発生したのと同じ日、同じ時刻に、日本に向けてこのツイートを発信している。

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