11月27日(米国時間)、米ラスベガスで開催中のAWSの年次カンファレンス「AWS re:Invent 2018」(11/26 – 11/30)においてアンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOが記者会見を行い、AWSの新たなサービス「AWS Ground Station」(プレビュー提供)を発表しました。世界12カ所に設置された衛星基地局を通して、人工衛星とのデータ通信(アップリンク/ダウンリンク)を高速かつ従量課金で行えるようにするフルマネージドのサービスです。
天気予報や都市計画、あるいは大学での研究などにおいて「人工衛星(低軌道衛星)のデータを活用する」ことはそう簡単ではありません。
- 衛星基地局を建てる、もしくは借りるのに莫大なコストがかかる
- 人工衛星からデータを獲得する時間や場所をカスタマイズしにくい(欲しい場所や欲しい時間帯のデータを手に入れられるとは限らない)
- 獲得したデータを分析やマシンラーニング用途にクラウドに移行する負荷が大きい
など、とにかくお金と時間と手間がかかるため、たとえば「明日の午後の北海道上空を通る人工衛星のデータが欲しい」といっても簡単には手に入らないのです。
より多くのユーザが人工衛星のデータを安く、簡単に利用できるようにするためにAWSができることは何か – 「我々にはグローバルに多くのリージョンがあり、これを運用してきたノウハウがある。グローバルフットプリントという実績を衛星基地局にも活かしたい」(アンディ・ジャシー)というAWSの強みを活かしたサービスがAWS Ground Stationになります。ユーザは人工衛星データを容易に手に入れられるだけでなく、AWSの豊富なリソース – ストレージやコンピュート、アナリティクスやマシンラーニングのマネージドサービスなどもそのまま利用できるため、データの保存や加工、分析のために移行する必要もありません。
AWS Ground StationはLockheed Martinのサテライトデータプロジェクト「Verge」と連携したサービスで、複数の人工衛星からのデータを同時にダウンリンクできる点も特徴のひとつです。すでにBlackSky、DigitalGlobe、Open Cosmosなどの先行ユーザがパートナーとしてプレビューに参加しており、エコシステムが構築された状態でアナウンスされているのもAWSらしいところです。
アンディ・ジャシーがre:Inventのキーノートの前に記者会見を開いたことはいままでありませんでした。それだけに、AWSが宇宙ビジネスへの本格進出を図っているとも受け取れます。1年後にこの新しいサービスがどう成長しているのか、非常にたのしみです。
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